ノコギリと筆 「薫風」寄稿文より

玲書館の始めた取り組み「アウトフィールド書道」にご賛同くださる高尾グリーン倶楽部さんが会報「薫風」を発行されました。
高尾グリーン倶楽部は高尾の国有林等を保全している団体です。
記念すべき創刊号に、拙い文章ではございますが寄稿をさせていただきました。

「薫風」創刊号(令和元年11月2日発行)

高尾山では2年前から間伐や除伐による保全活動のお手伝いをしています。
初回高尾山でのアウトフィールド書道では
「頭が良くなる!美人になる!・・・森林の未来って!?」と題して
倶楽部の龍 久仁人 代表に講義をしていただき、一連の活動後に青空の下で書道をしました。
それから毎年、倶楽部の皆様のご指導で活動を継続させていただいております。
「薫風」より

   『 ノコギリと筆 』  寄稿文より
 ザリザリッ。小学4年生の男の子が握るノコギリはくねくねと直径20㎝程の木の胴体を行き来した。森を守る為に木を伐っていいのか、木は思ったより硬いな、様々な感情が彼の頭を廻る。四苦八苦の挙句、木がザブンと音を立て地面に体を横たえた。もやもやした罪悪感に似た思いは、射し込む陽に打ち消された。

ご指導の下、ノコギリで木を伐る
       
 森林保全作業は危険が伴う。知識と技術をもつ高尾グリーン倶楽部のご指導があって、子どもから大人まで貴重な体験ができる事は大変有難い。  
 書道教室が野外へ出たのは、世界が環境問題に関心を寄せていた7年前。用具の墨、硯、筆、紙等は自然由来、里山からの贈り物だ。里山文化源泉の森林で再生作業を行い、その現場で大地に紙を広げ、毛筆ひと文字で環境への思いを書き発表する。書道が森林と関わる取り組み「アウトフィールド書道」を始めた。 
明るくなった森林で、大人も子どもも大きくひと文字を書く。何とも言えぬ爽快感!
         
 その日、戸惑いつつ間伐した男児は「学」と書いた。木はみんな違う事や道具の使い方を学んだと言う。「命」は小5の女児、小3の女児は「光」。私は「創」、環境をどう考え伝えるか、創造する力が大切だと感じたからだ。
 森林活動は環境への思いと表現への拘りを与えてくれる。
 さあ、子どもと出掛けよう。ノコギリと筆を持って。
                      日本文化書道院 玲書館 
                       主宰 山本玲葵
  
  

本年も、森林と海とを繫ぐ環境保全活動へ、生徒の皆さんと元気に飛び出したいと思っております。 筆を持って!!